分子神経疾患資源解析学分野
小池 佑佳 助教
インタビュー
新潟大学医学部医学科を卒業後、新潟大学医歯学総合病院をはじめ、新潟県内の複数の病院で、神経内科医としての研鑽を積んで参りました。その中で、新潟大学大学院医歯学総合研究科 神経内科学分野に入学し、神経変性疾患の分子病態研究を開始しました。博士号取得後は、メイヨークリニックフロリダへの研究留学を経て、現在、分子神経疾患資源解析学分野で、神経変性疾患の研究に従事するとともに、神経内科医として診療に当たっています。
現在取り組んでいる研究内容についてお聞かせください。
脳の神経細胞が少しずつ変性し、脱落することによって、障害をきたす病気である「神経変性疾患」の研究に取り組んでいます。とくにこの神経変性疾患の最大の危険因子である加齢が、どのように病気の発症に関わるか、そのメカニズムを、細胞レベルで、解明することを目指しています。
医学科4年生のときに、基礎研究実習で、分子神経疾患資源解析学分野の小野寺理准教授(当時)のもと、脳小血管病の病態研究に触れる機会がありました。その際に、まだ根本的な治療が開発されていない、神経難病の病態を解明し、その病態に沿った治療法を見出していくことの重要性を感じたことが最初のきっかけです。大学卒業後、神経内科医として実際に神経疾患の患者さんの入院・外来診療に従事する過程で、その思いをさらに強くしました。
脳研究所で研究することの魅力は何でしょうか。
基礎研究を行う研究室と臨床の教室がとても近い距離にあり、密接に連携し合えることです。神経内科医としては、病棟と研究室が近く、患者さん由来のサンプルを、研究室で、自分たちの手ですぐに解析できることも魅力です。また、分子神経疾患資源解析学分野では、常に、脳研究所内の複数の研究室と協力し合いながら研究を進めています。私自身、研究を遂行するうえで、脳神経内科学分野、遺伝子機能解析学分野、病理学分野をはじめ、脳研究所内の様々な研究者の方々にお世話になっています。
神経変性疾患の患者さんの脳組織を一つ一つの細胞レベルで解析して、各細胞に生じている事象がどのように、疾患の原因や経路に繋がっていくのか、その過程や加齢の影響を明らかにし、病態の根底に繋がる因子を見出していきたいと考えています。
これまでの研究キャリアにおいて、挫折や失敗を経験したことはありますか?その時どのように乗り越えましたか。
取り組んでいる研究が上手く進まないことは、とてもよく経験します。その際も、研究室の垣根を越えて、多様な研究者の方々と相談したり、議論を繰り返す中で、ヒントや取っ掛かりを得て、研究を進めて参りました。
臨床の場で生じた疑問、必要性にアプローチすることから私たちの研究は始まりますが、その研究の成果を、神経難病の患者さんの治療法や早期診断ツールとして、少しでも早く着実に還元できるように励んでいきたいと思います。