脳研究所長 松井秀彰 教授

新潟大学脳研究所長
松井 秀彰

脳の病気を克服し、障がいや老化と生きる

 新潟大学脳研究所は、中田瑞穂先生をはじめとする先達の尽力により生まれた「新潟大学脳研究室」を源流とし、1967年の設立以来、半世紀を超えて歩みを続けてきました。開設当初から、脳神経外科・脳神経内科・病理といった臨床に直結した教室を併せ持つ研究所であることは、現在に至るまで本研究所の大きな特徴です。

 私たちが一貫して向き合ってきたのは、「ヒトの脳」と「脳の病気」です。ヒトの脳に関心を持ち、その異常を理解し、克服したいという想いのもとに、多様な背景をもつ研究者が集っています。研究手法に特定の枠はありません。臨床、病理、画像解析、遺伝子・分子生物学、モデル生物を用いた解析、さらには進化の視点から脳と疾患を捉える研究まで、幅広いアプローチを組み合わせ、脳の病態に多角的に取り組んでいます。

 本研究所の強みは、異なる分野の研究者が日常的に議論し、分野横断的に協働できる環境にあります。分子レベルの変化から個体・集団レベルの現象までをつなげ、「脳の病気のメカニズムは何か」「そもそもなぜそのような病気があるのか」といった根源的な問いに挑むことを大切にしています。

 また、患者さんやご家族、医療関係者の皆様の尊いご志により提供された脳組織は、本研究所の研究を支える重要な基盤の一つです。これらの貴重なリソースを大切に管理・活用しながら、基礎研究と臨床研究を結びつけ、ヒトの脳の病気の理解と克服に活かしてきました。

 2026年4月には組織改編を迎え、新たな体制のもとで次の時代の脳研究へと歩みを進めます。これまで培ってきた臨床・病理と基礎研究の融合をさらに深化させ、進化生物学、日々進歩する分子生物学、データ科学・AI、最先端の神経科学といった新しい視点を積極的に取り入れながら、柔軟で開かれた研究所を目指していきます。

 同時に、研究成果を社会へと還元すること、次世代を担う若い研究者や学生を育てること、そして産業界や地域社会と連携しながら新たな価値を創出することも、本研究所の重要な使命であると考えています。脳の病気の克服に向けた研究とともに、障がいや老化とともに生きる社会のあり方にも貢献していきたいと考えています。

 所員一同、これまで託されてきた想いを胸に、これらの目標に向けて真摯に研究を続けて参ります。今後とも新潟大学脳研究所へのご理解とご支援を、心よりお願い申し上げます。

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