脳病態解析分野 松井研究室

ドウニョン ゴッドフリッド 助教


インタビュー

これまでの経歴を簡単にご説明ください。

 京都大学大学院薬学研究科で主に薬用植物由来の化合物の鎮静活性、抗不安作用、抗うつ作用の研究に取り組み、博士号(薬学)を取得しました。その後、脳疾患に興味があったため、2022年に脳研究所の一員となりました。
 着任以来、アルツハイマー病及び自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの神経発達障害について、薬物誘発や遺伝子操作されたゼブラフィッシュやマウスモデルを用いた興味深い研究に携わっています。


現在取り組んでいる研究内容についてお聞かせください。

 現代の我々はストレスに絶え間なくさらされ、その結果、昔は存在しなかった新たな病態が出てきています。私が現在取り組んでいる研究テーマは主に2つです。
 神経発達障害、特にASDとADHDの遺伝的・行動的要素を研究していますが、これらには類似した神経心理学的問題があります。ゼブラフィッシュという小型魚類を使って、遺伝学的手法と薬理学的手法を組み合わせ、このような疾患の内在的・外在的メカニズムに新たな光を当てようとしています。
 また、アルツハイマー病のような他の脳疾患にも焦点を当て、最新の神経画像法とマウスモデルを用い、疾患の発症メカニズムを研究しています。
 このような多様な研究と明るく陽気な研究環境のおかげで、自分の薬学の知識を生かしつつ神経疾患に対する理解を深めることができています。


脳の研究をしようと思った理由をお聞かせください。

 私が脳の研究をしたいと思う理由は、脳の複雑さと、その脳が我々の健康に重要な役割を果たしていることに強く興味を惹かれるからです。
 神経疾患や精神疾患に対し、より効果的な介入や治療法につながるような科学的理解を深めたいと強く思っています。特にASD、 ADHD、 パーキンソン病、アルツハイマー病についての新しい知見を得ることに関心がありますが、これらに限定されるものではありません。
 脳研究所は、複雑な人間の頭を研究し人々の生活に大きな影響を与える特別なきっかけを与えてくれる場所です。


脳研究所で研究することの魅力は何でしょうか。

 脳研究所は最先端の神経科学研究で有名な研究所です。トップクラスの研究者たちと一緒に働き、最先端の設備を利用することができ、脳の謎を解き明かそうとする活気ある研究コミュニティの一員となることに、非常に魅力を感じています。
 さらに、私は基礎研究と臨床への応用とのギャップを埋めたいと考えているので、脳研究所のトランスレーショナル研究への取り組みは、私の研究者として目指していることとまさに一致しています。


今後新たに学んでみたいことや、挑戦してみたいことはありますか。

 将来的には、神経薬理学と分子神経科学、特に脳の病気に関連するものについての理解を深めたいと思っています。神経疾患に苦しんでいる方々の生活を真に改善できるような最先端の治療法の開発に挑戦したいと思います。


これまでの研究キャリアにおいて、挫折や失敗を経験したことはありますか?その時どのように乗り越えましたか。

 具体的な経験は思いつきませんが、研究者が研究を進めていく上で失敗や挫折はつきものなので、心づもりはしておくべきだと思います。立ち直る強さと柔軟性を持ち、挫折を経験したとしても、更に成長するためのチャンスととらえるべきです。
 結果を出すためには、自身の取り組み方を見直し、その分野の専門家に助言を求めることです。


終業後や休日はどのようにお過ごしでしょうか。おすすめのリフレッシュ方法がありましたらご教示ください。

 空き時間や休日は質の高い科学文献を読んで過ごすことに喜びを感じます。読んでいると更にやる気が出てきます。疲れてしまった時には、サイクリングに出かけたりサッカーをしたりするのが、私が好きなアウトドア活動ですが、とは言え、やはり良質な睡眠に勝るものはないと思います。そして新たな活力を得て、また研究に取り組みます。


今後の目標についてお聞かせください。

 何よりもまず、自分自身の経験とスキルを活かし、神経科学分野で影響力のある研究をしていきたいと思っています。私は脳関連の疾患を解明したいと思っている熱意のある方たちとの共同研究に喜んで応じます。また、教育活動へ参加することや共同研究の環境を醸成することで、次世代の研究者を指導し彼らの意欲を高めたいと考えています。
 最終的な目標としては、人々の生活をより良くするような脳研究の分野に尽力したいと思っています。


Interview・・・2023年9月時の所属とインタビュー内容を掲載しています
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