医歯学総合研究科 生体機能調節医学専攻 博士課程
Ramil Gabdulkhaev
インタビュー
現在,脳研究所でどのような研究を行っていますか?
私の所属している研究室は、ヒトの神経系疾患の病理学を中心に研究を行っています。 研究の範囲は非常に幅広く、いくつか挙げると、神経変性疾患、腫瘍形成過程、様々な奇形、自己免疫疾患などを研究しています。 私の現在の研究テーマは、レム睡眠行動障害の神経病理学です。 この病気は、簡単に説明すると、レム睡眠中に不快で鮮明な夢(追われたり襲われたりするような暴力的で攻撃的な夢)を見たり、 筋活動抑制が失われて手足の激しい動き(殴る、蹴る)をしたりして、 患者さんや一緒に寝るパートナーに外傷を与えてしまうような特有の行動を示します。 この病気の興味深いところは、いわゆるシヌクレイン病の発症が10年以上も先行することです。 シヌクレイン病は神経変性疾患の一群であり、神経細胞の脆弱な個体群にαシヌクレインが蓄積することを特徴とし、 パーキンソン病、多系統萎縮症、レビー小体型認知症などの疾患がそこに含まれます。 レム睡眠行動障害はシヌクレイン病への進行を予測する強力な要因なので、この研究により、 睡眠のレム期がどのように制御されているのか、また、パーキンソン病、多系統萎縮症、レビー小体型認知症が発症する何年も前に、 特定の神経細胞個体群がαシヌクレインの蓄積に対しどのように脆弱になっていくのかを明らかにすることができると思われます。
どうして脳研究所で研究しようと思ったのですか?
私にとって、脳神経内科と脳神経外科は以前から最も興味深い分野です。 医学部の学生だった頃、これらの分野に可能な限り携わろうと思っていました。 母校の卒業が近づくにつれ、私は基礎研究を続けるとともに、臨床と実践的な側面にも取り組みたいと考えました。 幸いなことに、私が医学士号を取得したカザン医科大学は脳研究所と研究交流をしていることから、 奨学金を申請し新潟大学で教育を継続する機会を得ました。 脳研究所は、脳神経内科・脳神経外科領域の研究を行うための優れたプラットフォームを持っており、 最先端の基礎研究や臨床研究を行うことができるだけでなく、 その分野の第一人者から指導を受けることができる唯一無二の機会を提供してくれます。 さらに、日本は研究水準の質が高いことで知られていますので、 研究の進め方やその研究分野に影響を与えるような成果を出す方法を脳研究所で学ぶことができると思います。 最後になりますが、私は以前から日本とその文化に魅了されていましたが、 脳研究所で学ぶことで日本をより身近に感じ、新しい言語を学び、視野を広げることができています。
脳研究所への大学院進学を考えている方へメッセージをお願いします。
脳研究所への大学院進学を考えているのであれば、迷わず出願することをお勧めしたいと思います。 脳研究所は豊かな歴史を持ち、基礎から臨床まで(または両方を併せて)幅広い研究テーマを扱っている優れた研究機関で、 他に類を見ない経験をすることができます。ここの研究環境はとても刺激的で生産的です。 脳研究所から目を移し新潟県という場所を見てもここは素晴らしいところです。ここの自然は魅力的で、観光で訪れるのに良い場所もたくさんあります。スノーボードやスキーが好きな人には特にお勧めです。新潟県には50ヶ所以上のスキー場がありますので、 見事な山や美しい風景の中でスノーボードやスキーをするのが好きな方にとっては訪れるべき場所です。