医歯学総合研究科
生体機能調節医学専攻 博士課程
八木 千裕
インタビュー
私は新潟大学の卒業ですが、大学入学前から、新潟大学の脳研究所は最先端かつ革新的な研究を行う施設として、その名を耳にしておりました。耳鼻咽喉科の主任教授より、平衡覚と脳機能との関係について、脳研究所の先生方にご助力頂き研究を進める案があるという話を聞き、新潟大学が誇る脳研究所で研究に携わることができたなら、何にも代えがたい経験となるに違いないと思い、門を叩かせて頂きました。
脳研究所で取り組んだ研究内容についてお聞かせください。
持続性知覚性姿勢誘発めまいという、慢性めまい疾患があります。この疾患は、3カ月以上の長期間にわたって、ふわふわしためまいや不安定な感覚が続く病気です。患者さんの多くは、耳に存在する三半規管などのバランスのセンサー自体には問題がないため、バランス感覚の総合司令塔である脳機能に異常があるのではないかと考えられています。では脳の中で、実際何が起こっているのか、病気の原因は何なのかということを解明するために、患者さんにご協力を頂き機能的MRIの撮像を行いました。
研究者として世界トップクラスの脳研究所の先生方に、直接指導を頂けることだと思います。最先端の研究をされているにも関わらず、指導については非常に初歩的なベースの部分から、対話形式+勉強会形式で丁寧にご指導頂けました。私は医学の臨床の場で数年勤務をしたのちに大学院生になりましたが、患者さんの症状や病態など、目の前で起こっている現象に対していかに「考える」という姿勢が不足していたか、先生方の指導を通して初めて実感することができました。自分にとってとても大きな財産になったと思います。
今後新たに学んでみたいことや、挑戦してみたいことはありますか。
大学院での研究テーマはめまい疾患の病態解明でしたが、残念ながらまだ効果的な治療法の開発には至っていません。卒業後はまた臨床の場に戻りますが、症状の根治が望めるような治療を目指し、患者さんの利益につながる臨床研究を行っていきたいと考えています。世界的にもまだ突破口となるような治療が報告されていない疾患ですので、他国の先生方とも情報交換をしながら、可能であれば日本から、いの一番に有効な治療が報告できればと思います。
おすすめのリフレッシュ方法がありましたらご教示ください。
小学生の子供が2人おり、終業後や休日は、子育てという体を使ったアクティビティに追われています。慌ただしい生活ですが、家事をしながら・子供と遊びながら良い考えが閃くということも多々ありましたので、机に座っているだけが「考える」ではないなと思います。年甲斐もなく漫画が好きなので、リフレッシュ方法は「漫画を読む」です。
脳研究所への大学院進学を検討している方へメッセージをお願いします。
お世辞でもなんでもなく、素晴らしい研究環境です。ただし、自分で研究を進めていくという意志、自分から学んで動いていくという能動的な心構えは必須だと思います。その姿勢があれば、指導者の先生方はきちんと応えて下さいますので、ディスカッションを楽しみながら研究が進められる環境だと思います。