c-Jun N-terminal Kinaseによって制御される新規経路による軸索誘導の発見

2017年05月22日

概要

c-Jun N-terminal Kinase(JNK)は幅広く保存されているタンパク質リン酸化酵素であり、遺伝子発現を制御する事によって多くの生命現象に関与している事が知られています。JNKは軸索誘導においても機能している事が知られていますが、その下流で機能する因子はほとんど解明されてきませんでした。
本学テニュアトラック脳病態解析分野の杉江淳助教、新田陽平研究員は本研究で、ショウジョウバエの三次嗅覚中枢であるキノコ体をモデルとして、軸索分岐制御因子として報告されているDISCO Interacting Protein 2DIP2)がJNKの下流で軸索誘導を制御している事を明らかにしました。また、このJNKによるDIP2の発現制御はAP1非依存的である事も明らかとなりました。
これらの結果は、JNKによる軸索誘導機構の一端が明らかにされただけでなく、DIP2が軸索分岐だけでなく様々な神経発生において役割を有している事を示しています。

本研究成果は、専門誌Biochemical and Biophysical Research Communicationsに、2017年5月20日に掲載されました。

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画像1
図:(A)野生型のキノコ体。1対のキノコ体が背側と正中線側にそれぞれローブ構造を形成している。
  (B)DIP2の過剰発現や、(C)JNKの抑制によって背側のローブ構造が正中線側へと誤投射する(白矢頭)。
  (D-E)JNKを抑制する事によって、キノコ体中(点線部)のDIP2シグナルが減少する。
  (当該論文の図を改変し転載。)

研究分野

研究成果・実績
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