2023
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メンバー

准教授
杉江 淳
SUGIE Atsushi

特任助教
新田 陽平
NITTA Yohei

特任助教
小坂 二郎
OSAKA Jiro

研究概要

脳の神経回路は、通常は生涯に渡ってその機能を維持し続けます。そのためターンオーバーによって健常な組織を維持する他の体細胞と異なり、回路を形成している神経細胞は独自の細胞間相互作用によって長期的に健康状態を保つメカニズムを有していると考えられます。これが破綻すると老化または神経変性疾患や精神疾患へと繋がることが予想されます。しかし、神経細胞を維持するために機能する細胞間コミュニケーション機構は調査に要する期間が非常に長く、十分解明されていません。私達は個体の生活環サイクルが短く重複遺伝子が少ないショウジョウバエのメリットを活かし、複雑な遺伝子解析を迅速に推進しこの問題に取り組んでいます。そして、神経細胞間で情報伝達の場となるシナプスや(図1)、隣接細胞間を隔てる細胞膜を構成するリン脂質の代謝に焦点を当てた細胞間相互作用解明に向けた研究を進めて おります(図2)。これらの研究から、シナプスや脂質代謝の適切な調節による新規神経保護の分子基盤の知見の提案し、従来説明がつかなかった神経変性疾患や精神疾患の脳回路で起こる障害の実体解明につなげることを目指します。

● ショウジョウバエ視神経軸索にあるシナプス
当分野で樹立されたC57BL/6N系マウスES細胞であるRENKA細胞。
(A)シナプスの分布と数の半自動定量。シナプスの位置情報、スポットとして判定されるシナプスのシグナル強度、そしてバックグラウンドとなる細胞質のシグナル強度の模式図。(B)ショウジョウバエ視神経軸索終末(青色)とシナプスマーカー(白色)。(C)画像解析ソフトウェアIMARISの自動選択によるシナプスのスポット化。(図1)

 

● 脂質代謝異常による神経形成異常
(A)ショウジョウバエ成虫脳とキノコ体(点線部)。(B)野生型キノコ体の1細胞。(C)脂質代謝に必要なDIP2の変異体では過剰な軸索枝が観察された。各図の矢印は軸索枝を示す。(図2)

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