第13回新潟大学脳研究所共同研究拠点国際シンポジウムを終えて

　

　2023年3月9日（木）および10日（金）、第13回新潟大学脳研究所共同研究拠点国際シンポジウム「State-of-the-Art of Brain Pathological PET Imaging and Futura Prospects」がオンラインで開催されました。海外からはElizabeth Mormino先生 (Stanford University, US)、Vincent Doré先生 (Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation (CSIRO), Australia)、Michel Goedert先生 (MRC Laboratory of Molecular Biology, UK)、Michael J. Pontecorvo先生 (Avid Radiopharmaceuticals, US)、Victor Villmagne先生 (University of Pittsburgh, US)、Shunsuke Koga先生 (Mayo clinic, US)、Pedro Rosa-Neto先生 (McGill University, Canada)、Satoshi Minoshima先生 (University of Utah, US)の8人の講演者、国内からは石井賢二先生（東京都健康長寿医療センター）、島田（新潟大学脳研究所）、今林悦子先生（量子科学技術研究開発機構）、徳丸阿耶先生（東京都健康長寿医療センター）、遠藤浩信先生（量子科学技術研究開発機構）、岡村信行先生（東北医科薬科大学）、小野麻衣子先生（量子科学技術研究開発機構）の7人の講演者による講演がありました（※おのおの講演発表順）。参加者は2日間でのべ233名（4か国からの海外参加者を含めて新潟大学学外からの参加者が75％）と、盛況なシンポジウムとなりました。

　近年、脳病理イメージング技術は、アミロイドβやタウ凝集体などの異常タンパクや神経炎症などを可視化し、アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患の病態解明に極めて重要な役割を担っています。今回のシンポジウムでは、過去15年以上にわたって当該分野の研究加速に貢献してきた、世界最大規模の国際会議であるHuman Amyloid Imaging（HAI）カンファレンスをオマージュして、同カンファレンスで繰り広げられるようなハイレベルな講演と闊達な議論を参加者のみなさまにお届けたいという思いのもとに、企画と準備を進めてまいりました。

　4つのテーマセッションでは、①アルツハイマー病の二大病理変化であるアミロイドβとタウたんぱく病変のPETイメージングに関わる最新の話題について、②異なるタウPETリガンドの比較法の開発、AIによる自動診断法の開発、クライオ電顕を用いた病的たんぱくの立体構造同定など最新技術を用いた研究について、③アミロイドPETやタウPETの臨床実装における課題やピットフォールについて、④エピゲノム変化、アストログリア活性、αシヌクレイン凝集体などを標的とする新規イメージング技術について、トップエキスパートによる発表と活発な議論が行われました。また認知症診療における画像診断技術の有用性について、おのおのMRIとPETの立場に立った講演者によるControversyは、本シンポジウムにおいては目新しい試みで、今後のシンポジウムが秘めるさまざまな可能性を感じさせるセッションとなったように思います。さらにシンポジウムの最後には、Satoshi Minoshima先生による特別講演を拝聴し、過去から現在に至るまでの脳画像解析の足跡と我々の立ち位置を学ぶ貴重な機会となりました。

　最後に、本シンポジウム開催にあたり、ご講演頂いた先生方、ご参加頂いた先生方、シンポジウムの準備・運営にご尽力頂いた事務のみなさまに、深甚なる感謝を申し上げます。

（文責：臨床機能脳神経学分野　島田 斉 教授）

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