アミノ酸プロファイルを用いた軽度認知障害のバイオマーカーを開発しました

2022年02月07日

概要

当研究所の 春日 健作 助教(遺伝子機能解析学分野)、徳武 孝允 助教(脳神経内科学分野)、池内 健 教授(遺伝子機能解析学分野)らの研究グループは、全国18の医療機関・施設と味の素株式会社との共同研究により、軽度認知障害の新たな血液バイオマーカーを開発しました。2022年22日(日本時間)、国際学術誌「Nutrients」に掲載されました。

Ⅰ.研究成果

軽度認知障害(MCI: mild cognitive impairment)は認知症に移行する高リスク群として知られています。MCIの段階で早期発見し、生活習慣を改めるなど等の予防策をとることが重要と考えられています。今回の研究では、全国の18医療機関・施設ならびに味の素株式会社との共同研究「血漿アミノ酸プロファイルによる軽度認知障害およびアルツハイマー型認知症の発症予測に関する臨床研究」(臨床研究登録 UMIN000021965)を実施し、アミノ酸プロファイルを測定することによりMCIの新規バイオマーカーを開発しました。認知機能正常者(220名)と比較して、軽度認知障害の方(219名)は、血液中のアルブミンと必須アミノ酸を中心とした複数のアミノ酸が有意に低下していました。これらの所見からは、MCIの段階で、タンパク摂取不足等による栄養状態の変調が生じていることが示唆されます。本研究は、MCIの栄養学的な面に着目することにより、アミノ酸プロファイルを用いた初めてのバイオマーカー開発になります。220128.seika_pic.jpg

Ⅱ.今後の展開

今回の研究は、タンパク摂取不足等による栄養状態の変調が、MCIの段階で生じていることを横断的に示しました。本研究は被験者を3年間追跡する縦断研究が継続されています。MCIから認知症への移行を予測するバイオマーカーの開発を今後は目指します。

Ⅲ.研究参加機関・施設

新潟大学、旭川圭泉会病院、新渡戸記念中野総合病院、くるみクリニック、甲府脳神経外科病院、西新潟中央病院、三島病院、砂川市立病院、昭和大学、みどり病院、福井大学、かわしま神経内科クリニック、高槻病院、南東北医療クリニック、東京都健康長寿医療センター研究所、東京医科歯科大学、足利大学、味の素健康推進センター、味の素株式会社

Ⅳ.本研究への支援

本研究は、科学研究費補助金 15K15335の支援を受け、味の素株式会社との共同研究として実施されました。

掲載情報

【掲載誌】 Nutrients
【論文タイトル】 Development of a novel nutrition-related multivariate biomarker for mild cognitive impairment based on the plasma free amino acid profile
[血漿遊離アミノ酸プロファイルに基づいた軽度認知障がいにおける栄養に関連した新規多変量バイオマーカーの開発]
【doi】 10.3390/nu14030637

研究内容の詳細

アミノ酸プロファイルを用いた軽度認知障害の新規バイオマーカーを開発-軽度認知障害の段階で栄養状態の変調が生じている可能性を呈示-


研究分野

研究成果・実績
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