耳への弱い電気刺激で体の反応を測る新たな手がかり―18名中17名で心拍調節の変化を確認―
2026年10月07日
本研究成果のポイント
- 健常成人男性18名に耳介迷走神経刺激(taVNS)を行い、刺激前・刺激中・刺激後の心電図と連続血圧を測定した。
- 刺激中は、血圧の変化に合わせて心拍を調節する働きが刺激前より小さくなり、18名中17名で同じ方向の変化がみられた。
- この働きを表す圧受容反射感度(BRS)は、将来、刺激中に体の反応が生じたかを確かめ、刺激条件を一人ひとりに合わせるための「反応のものさし」になる可能性がある。
概要
新潟大学大学院自然科学研究科の片原悠介さん(大学院生)、同大学医学部保健学科・工学部の飯島淳彦教授、同大学脳研究所の田井中一貴教授らは、耳に弱い電気刺激を加える耳介迷走神経刺激(taVNS)(注1)で、装置から刺激が出たかだけでなく、体が実際に反応したかを確かめる方法を探しました。健常成人男性18名を調べたところ、血圧の変化に合わせて心拍を調節する働きを示す圧受容反射感度(BRS)(注2)が刺激中に小さくなり、18名中17名で同じ方向の変化がみられました。上の血圧は平均約6 mmHg高くなりましたが、心拍のゆらぎなどには明確な差がありませんでした。BRSは、これまでの指標では見えにくかった刺激中の体の反応を捉える可能性があります。今後、対照試験で再現されれば、刺激のたびに反応を確認し、刺激の強さや電極の位置などを一人ひとりに合わせるための手がかりになると期待されます。現段階では、病気の診断や治療効果を判定する指標ではありません。
研究成果の公表
本研究成果は、2026年10月6日、科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。
| 論文タイトル | Acute transcutaneous auricular vagus nerve stimulation is associated with lower baroreflex sensitivity without detectable Mayer-wave coherence change: an exploratory study |
| 著者 | Yusuke Katahara, Atsuhiko Iijima, Kazuki Tainaka |
| doi | 10.1038/s41598-026-71625-9 |
用語解説
- (注1)耳介迷走神経刺激(taVNS):耳に弱い電気刺激を加え、耳にある迷走神経の枝から脳へ感覚信号を送る方法です。手術は不要で、心臓へ向かう迷走神経を直接刺激する方法ではありません。
- (注2)圧受容反射感度(BRS):血圧が上がったり下がったりしたときに、心拍の間隔がどの程度変わるかを表す値です。値が大きいほど、血圧変化に合わせた心拍調節が大きいことを示します。

