大脳皮質基底核変性症において、神経細胞内のリン酸化TDP-43異常凝集が神経変性に関与している可能性を示しました

2021年12月24日

概要

本研究所 病理学分野・脳疾患標本資源解析学分野の大学院生 齊ノ内信先生、他田真理准教授、柿田明美教授の研究グループは、同研究所遺伝子機能解析学分野 池内健教授、脳神経内科学分野 小野寺理教授らとの共同研究により、大脳皮質基底核変性症 (Corticobasal degeneration: CBD) において、神経細胞内のリン酸化TDP-43封入体の脳内分布が神経変性の分布と相関していることを明らかにしました。

CBDは難治性神経変性疾患で,神経細胞やグリア細胞内に異常リン酸化したタウ蛋白が蓄積することを特徴とするタウオパチーです。大脳皮質症状や錐体外路症状など多彩な症状を呈します。CBDではリン酸化タウ封入体に加えて、リン酸化TDP-43封入体も他のタウオパチー疾患に比べて高頻度に認められることが知られており、近年、臨床症状に影響している可能性も報告されました。しかし、CBDにおいてリン酸化TDP-43封入体の出現が神経変性に関与しているか否かは不明でした。今回、本研究グループは、CBDに罹患された患者さんの病理組織を詳細に解析し、脳内における神経細胞内リン酸化TDP-43封入体の分布が神経細胞の脱落の分布とよく相関していることを見出しました。これにより、CBDの病態形成にはタウの異常だけでなく、TDP-43の異常リン酸化や凝集も関与している可能性が示唆されました。

本研究成果は、「Neuropathology Applied Neurobiology」誌に、2021年12月15日付で公開されました。

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掲載情報

【掲載誌】 Neuropathology Applied Neurobiology
【論文タイトル】 Brain TDP-43 pathology in corticobasal degeneration: topographical correlation with neuronal loss
【doi】(公開論文はこちら▶) https://doi.org/10.1111/nan.12786

研究分野

研究成果・実績
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