冬眠様状態を誘導する新規神経回路の発見~人工冬眠の実現へ大きな前進~
2020年06月17日
概要
新潟大学脳研究所モデル動物開発分野の 阿部 学 准教授らが筑波大学医学医療系/国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の 櫻井 武 教授らの研究グループとの共同研究により開発した遺伝子改変マウスを用いることで、同研究グループが、本来は冬眠しないマウスに冬眠様状態を誘導する新規神経回路を発見しました。脳の一部の小領域に存在するQRFPという神経ペプチドを有する神経細胞に、特定の遺伝子の発現制御を可能とするCreというタンパク質を産生する遺伝子改変マウス(Qrfp iCreマウス)と、CNOという物質に反応し神経活動を操作できる遺伝子を発現制御するマウス(Rosa26 dreaddマウス)を用いることで、マウスの体温や酸素消費量を急激に低下させ冬眠のような状態にさせるQ神経(Quiescence-inducing neurons : 休眠誘導神経)と名付けられた神経細胞群を発見することができました。
この研究成果は,2020年6月10日付の英科学雑誌「Nature」にオンライン公開されました。
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■詳細はこちら【関連リンク】筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構Webサイト掲載記事
図:Qrfp iCreマウスを開発するための遺伝子改変の設計図