神経軸索変性を来す新たな疾患概念、ミクログリオパチーの存在を患者脳で確認
2017年06月01日
概要
脳研究所病理学分野の他田真理助教らは、新たな疾患概念であるミクログリオパチーの患者脳において、初めて、ミクログリアの形態学的、量的異常が存在することを示しました。
近年、ミクログリアの制御に必須である遺伝子の変異により遺伝性白質脳症を生じることが見出され、ミクログリアの異常により神経軸索変性を来す、ミクログリオパチーの存在が提唱されました。本研究では、その代表的な遺伝子の一つであるCSF1R遺伝子の異常による白質脳症の患者脳において、ミクログリアの脳内分布に異常があり、正常脳に比し出現が乏しい部位があること、また、ミクログリアの突起や細胞内器官に形態異常があることを示しました。このことはミクログリオパチーの存在を強く示唆します。
今後は、ミクログリアの異常が神経軸索変性を引き起こす機序を明らかにし、それを抑制しうる方法を模索します。
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CSF1R遺伝子変異例では大脳皮質3-4層におけるミクログリアの数が正常に比し少ないことがわかります。