長い持続音の終わりをコードするマウス大脳皮質聴覚領野

2017年06月01日

概要

音の持続時間をどう検出・処理するかは良く判っていません。当分野はマウス聴覚野の応答をフラビン蛋白蛍光イメージング法で解析し、長い持続音の終りにOFF応答が出現することを見つけました。OFF応答は、短い持続音でははっきりしませんが、予め長い持続音を聞かせた後では、短い持続音にもOFF応答が出現し、短期シナプス可塑性の関与が想定されました。OFF応答はNMDA受容体阻害剤でブロックされたことから、NMDA受容体依存性のシナプス抑圧によって生じる脱抑制がOFF応答を出現させると思われます。OFF応答は一次聴覚野に隣接する小領域に局在し(図1)、音の周波数依存性は見られませんでした。これらの結果は、音の持続時間を検出するために、NMDA受容体依存性の短期シナプス可塑性が関与すること、またこの目的に特化した領域がマウス聴覚野の一部に局在することを示しています。(H28.9 Scientific Reportsに掲載)

システム脳生理画像1

図1:マウス聴覚野の模式図。矢印が今回発見されたOFF応答の領野。A1, AAF, A2, DA, DM, DPはこれまで同定されている領野。音の高さにより応答部位が変化する領野は虹色で示されている。

研究分野


システム脳生理学分野

研究成果・実績
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