論文発表:EGF受容体活性阻害による統合失調症モデルのドーパミン機能・認知行動機能の改善
2013年05月08日
概要
当分野の研究成果が、2013年4月発行のTranslational Psychiatryに発表されました。
(Mizuno et al (2013) ErbB inhibitors ameliorate behavioral impairments of an animal model for schizophrenia: implication of their dopamine-modulatory actions. Transl. Psychiatry. 3: e252.)
新生仔期上皮成長因子(EGF)投与動物は、知覚フィルターなどの認知機能やドーパミン機能が障害されており、統合失調症モデルの一つとして当分野で樹立されている。この論文では、モデルラットの脳室内にEGF受容体阻害剤(ZD1839(ゲフィチニブ))を持続注入することで、認知機能異常が改善されることが明らかになった。またEGF受容体活性阻害は、ドーパミン代謝や神経活動にも影響を及ぼしていた。これらのことは、EGF受容体阻害剤が、既存の抗精神病薬(リスペリドンやハロペリドールなど)と類似したドーパミン伝達機能修飾作用を発揮することで、統合失調症様の行動障害を軽減する作用をもつ可能性を示している。