新潟脳神経研究会特別例会のご案内

日時

令和5年12月20日(水) 15:00~16:00

詳細PDF
会場

脳研究所 統合脳機能研究センター 6階
メディアホール
(新潟市中央区旭町通1-757)

講演者

竹内 倫徳 先生

デンマーク・オーフス大学生命医学部/
Gftd DAO
(新潟大学脳研究所共同研究拠点国際共同研究者)

内容

新しい記憶のスキーマへの同化に関わる脳領域ネットワーク

知識は人間の生活において中心的な役割を果たしています。学習した経験や情報は、長期記憶として脳の大脳新皮質と呼ばれる領域に蓄えられています。これらはバラバラに保存されているのではなく、情報処理され、構造化されて、新しい情報を効率良く処理するフィルターのような機能をはたしていると考えられています。このような経験や情報を抽象化・構造化して得られる知識のまとまりのことを「スキーマ」といいます。私たちは関連するスキーマを使って新しい情報を理解し,理解した内容をスキーマに組み込んでいくことによって知識を増やし,そして変化させています。しかしながら、この記憶の同化に関する神経メカニズムには、不明な点が多く残されています。

私達は、最初期遺伝子発現による機能マッピングを通じて、記憶の同化がおこる際に、前辺縁皮質、前帯状皮質、および脳梁膨大後部皮質と海馬との間に顕著な相関があることを明らかにしました(Tse、Takeuchi ら、Science、2011年; Takeuchiら、Molecular Brain、2022 年)。さらに、薬理学的介入により、スキーマに関連した新しい情報を記憶するためには、海馬と前辺縁皮質の 2 つの脳領域が同時並行的に働くことが必要であることを見いだしました(Tse、Takeuchi ら、Science、2011 年)。また、最近の代表的な大規模⾔語モデル(Large Language Models)、特にChatGPT を使用して、認知の歪みを検出し、修正する試みを行っています。記憶の同化の神経・分子メカニズムを理解することは、より効果的な行動介入の開発と教育戦略の改善に向けた大きな一歩となることが期待されます。

問合せ先

脳研究所事務室
TEL: 025-227-0388(内線0388), Email: seminar@bri.niigata-u.ac.jp

このページの先頭へ戻る