新潟脳神経研究会特別例会のご案内

日時

令和5年12⽉21⽇(⽊)16:00〜17:00

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会場

脳研究所 統合脳機能研究センター 6階 中⽥記念ホール
(新潟市中央区旭町通1-757)

講演者

伊藤 博 先生

ドイツ・マックスプランク脳科学研究所
リサーチグループリーダー
(新潟大学脳研究所共同研究拠点国際共同研究者)

内容

空間探索における⽬的地の決定と記憶

 我々ヒトを含め動物は、空間探索において、過去の経験を参照しながら適切な⽬的地を決定すると考えられているが、この能⼒のためには、以前の探索で到達した複数の⽬的地を脳内で保持しておく必要がある。しかし、これまでの空間探索研究では、現在進⾏中の探索においての脳内⽬的地表現の解明が中⼼であり、過去の⽬的地を記憶するメカニズムに関しては殆どわかっていなかった。そこで、我々は⽬的地の記憶がドーパミン線条体回路に保持されているのではないかと考えた。腹側被蓋野のドーパミン作動性神経細胞ならびに腹側線条体の側坐核の神経細胞は、動物が⽬的地に近づく際にその神経活動を増加させる傾向が⾒られた。ここで、報酬の場所を変え、動物の⽬的地を変化させると、腹側被蓋野のドーパミン神経細胞は新しい⽬的地に向けてすぐに反応を順応させるのに対し、側坐核の神経細胞は、新しい⽬的地のみならず、過去の⽬的地への反応も保持することがわかった。つまり、この側坐核での⽬的地記憶は、現在進⾏中の⾏動の如何に関わらず保持され、意思決定回路とは独⽴して機能する。⼀⽅で、側坐核の神経活動の抑制は動物の探索能⼒に障害を与えることから、ここでの記憶が⽬的地決定に必須であることが⽰唆された。これらの結果により、⽬標の記憶と決定を⽀える脳内回路の⼀端が解明され、我々の意思決定が脳内でどのようになされまた神経精神疾患などで障害を受けうるか、という問題への⾜掛かりになることが期待される。

問合せ先

脳研究所事務室
TEL: 025-227-0388(内線0388), Email: seminar@bri.niigata-u.ac.jp

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