新潟脳神経研究会特別例会のご案内

日 時

令和5年10⽉4⽇(⽔)17:00〜18:00

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会 場 脳研究所 統合脳機能研究センター6階
中⽥記念ホール
(新潟市中央区旭町通1-757)
講演者

守屋 洋紀 先⽣

恩⽥第2病院 / ⽇本医科⼤学 精神神経科

内 容

"精神疾患のPET研究"

 Positron Emission Tomography (PET:陽電⼦放射断層撮影法)は、陽電⼦(ポジトロン)を放出する放射性同位元素(11C, 18F, 15O など)で標識した各種の薬剤(PETリガンド)を⽣体内に投与し、その経時的動態や分布をPETカメラによって断層画像として描出する核医学的検査⽅法である。ポジトロンを放出する放射性同位元素として、⽣体分⼦を構成する炭素や酸素などの元素が使⽤できるので、⽔、酸素、ブドウ糖、アミノ酸、神経伝達物質など、⽣体内で重要な役割を担っている物質を構造を変えることなく標識することができるため、多様な⽣体機能を定量化することが可能である。
 PET は放射性同位元素で標識したリガンドの⽣体内での動態観察を⾏えるため、神経伝達物質受容体の分布やリガンドの結合能の計測といった分⼦レベルでの神経伝達機能イメージングが可能である。測定可能な脳機能パラメータとしては、脳⾎流量、脳酸素消費量、脳ブドウ糖代謝などの脳循環・エネルギー代謝に関するもの、脳アミノ酸輸送・代謝、さらに神経伝達物質受容体、トランスポーターなどの脳神経伝達機能に関するものや、脳内のミクログリア活性や反応性アストロサイト、β アミロイドやタウなど異常蛋⽩質沈着などがある。
 これらの脳機能パラメータ測定の中でも、脳神経伝達機能に代表されるような⽣体内の蛋⽩質などの分⼦の挙動を観察する⼿法は、「分⼦イメージング」と呼ばれ、PET を⽤いた分⼦イメージングによる脳疾患病態の研究が、脳変性疾患、脳⾎管障害、精神疾患などを対象に世界的に⾏われている。
 また、創薬や向精神薬の薬効評価の領域では、薬剤の標的となる受容体やトランスポーターに関して分⼦イメージングを⽤いることで、薬剤の脳内での分布や占有率を求めることができ、薬理学的PET 研究で得られた結果が、向精神薬の⽤量設定の根拠となることもある。
 本講義では、精神疾患の分⼦イメージング研究にフォーカスを当て、基礎的な事項について概論するとともに、主に量⼦科学技術研究開発機構と⽇本医科⼤学で⾏われてきた精神疾患のPET 研究の成果について御報告する。

問合せ先

脳研究所事務室 
TEL: 025-227-0388(内線0388), Email: seminar@bri.niigata-u.ac.jp

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