新潟脳神経研究会特別例会のご案内

2023年7⽉10⽇(⽉)新潟脳神経研究会特別例会を開催します。是非ご参加ください。

日 時

2023年7⽉10⽇(⽉) 16:30〜17:30

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会 場 脳研究所 統合脳機能研究センター6階
中⽥記念ホール
(新潟市中央区旭町通1-757)
講演者

国⽴遺伝学研究所
特任助教

吉⽥ 恒太 先⽣

内 容

"⽣物多様性の起源にせまる:線⾍の種分化遺伝学の確⽴"

"To Understand Origin of Biodiversity: Establishment of Speciation Genetics in Nematodes"

 地球上にはなぜこんなにも多様な⽣物が存在するのか?⽣命30億年の歴史の中で、全ての⽣物は⼀つの共通祖先からわかれてきたと考えられている。⼀つの種が⼆つにわかれる過程である種分化が繰り返し起こってきたことで、⽣命の多様性が作り出されたのである。現在、種分化は、⽣殖的な隔離(雑種の不成⽴、致死、不稔)が段階的に蓄積する進化プロセスだと考えられている。しかしながら、実際にどのような遺伝的な変異がそのプロセスを駆動したのか、その全貌は明らかになっていない。種分化研究には、理論的系統⽐較解析、⽐較ゲノムデータ解析、ゲノム操作による実験的解析という異なったアプローチを統合して追求する必要がある。私はシクリッドやトゲウオなど古典的な種分化のモデル⽣物の分野横断的研究を⾏ってきたが、現代の種分化研究の⼤きな課題を克服するためには、より最先端のゲノム操作を可能とするモデル⽣物が必要であるという結論に⾄った。そこで私が着⽬したのがPristionchus(プリスティオンクス)線⾍である。Pristionchus 線⾍は⾃由⽣活性の線⾍で、C. elegans のように実験的利便性を兼ね備えながら、採集⽅法の確⽴により、近年急速に多くの新種が発⾒されており、種分化が最近起こった種も存在する。私はドイツのマックスプランク研究所でPristionchus 線⾍を使うことで、世界ではじめて線⾍の種分化遺伝学研究プロジェクトをたちあげ、近縁種のゲノム解析や遺伝学解析を⾏った。その結果、⼤規模な染⾊体の再編成が組み換え率の進化を引き起こし、⽣殖的隔離を種間で引き起こしていることを明らかにし、その結果は最近報告された(Yoshida et al., 2023, Nature Ecol. Evol.)。また、その後の系統⽐較解析により、Pristionchus 線⾍では同様の染⾊体再編成が頻繁に起こり、種分化の⼀般的な原因となっていることを⽰唆している。本発表では、Pristionchus 線⾍の種分化遺伝学のこれまでの展開と展望とともに、進化系統解析の最近の新たな展開とその応⽤の可能性についても話していきたい。

問合せ先

脳研究所事務室 
TEL: 025-227-0388(内線0388), Email: seminar@bri.niigata-u.ac.jp

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