内 容 |
"三次元網羅的細胞種解析を⽤いてヒト脳⽪質組織学の標準化を⽬指す"
"Multiplexed and scalable cellular phenotyping toward the standardized three-dimensional histology of human cortex"
近年の組織透明化⼿法の発展により、細胞解像度の三次元神経解剖学が⾶躍的に進展しました。特定の細胞種を染⾊する⼿法と組み合わせることで、疾患や薬理学的な介⼊による細胞数の変化を調べる研究が盛んに進められています。これらの研究は主にげっ⻭類の動物モデルを⽤いたものが多く有⽤な知⾒をもたらしてくれる⼀⽅で、ヒト脳を⽤いた病理研究の代替になるわけではありません。私達は究極的には三次元組織学をヒトの脳に応⽤し、疾患が細胞レベルで脳に与える影響を直接観察する必要があります。しかしながら、三次元組織学をヒトの脳に適⽤するにはその⼤きさからくる技術的な難しさに加え、構造の不均質性や個体差などにより統計的な解釈が⾮常に困難であるといった課題が存在します。本講演では特にヒト⼤脳⽪質に着⽬して、それら課題の解決策となりうる⼿法(mFISH3D)と概念(形態形成跡)を提唱します。mFISH3D を⽤いることで 10 以上の遺伝⼦の mRNA を単⼀細胞の分解能で 1 cm3 程度の⽣体組織において迅速に三次元イメージングが可能になりました。また、形態形成跡というこの度新しく発表した概念がどのようにヒト⼤脳⽪質の組織構造の理解を促進し病理解析に有益なのか議論を⾏います。 1. Murakami and Heintz, bioRxiv, 2022; 2. Murakami et al., Nature Neuroscience 21, 625-637, 2018; 3. Tainaka et al., Cell Reports 24(8), 2196-2210.e9, 2018
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