新しい実験ベンチとマンパワーの問題

新しい実験ベンチが来ました。これで研究室の環境は概ね再整備が終わりました。全体的にある程度の人数の増加にも対応できる状態になったと思います。私を含めたスタッフがうまくハンドリングし、学生は高学年が低学年を教えることができれば、理想的にはいくら人数が増えても実験や研究を教えることができます。特に現状のスタッフの方々は、私にとってはとても幸運なことに皆さん実験・研究・教育の能力が高いです。これは研究者がスタッフになるにはやはりかなり厳しいselectionがかかっているからというのもあるでしょう。

しかし大学院周辺事情は異なります。研究者を目指す段階ではサッカーや陸上などのように各年代や地域での自然なselectionというものがあまり機能していません。事実上希望すれば大抵の人がどこかの大学院に合格できる状態です。これはたとえ東大や京大でも、そして医学部でもです。そうすると低学年を教える程度の能力も獲得できない方、あるいは残念ながらトラブルメーカーとなる方、などがある程度いますので、先のようにどんどん人数が増えても大丈夫というふうにはならないのです。もちろん部屋のスペースにも限界はありますけど、部屋の限界よりまず人の問題が先にくるでしょうね。

いま各スタッフの方々はそれぞれとても重要な研究課題に取り組んでいます。もちろん大学院を含めた学生さんの研究課題もすべて大変に重要です。それとは別に私も技官さんと一緒に挑戦的な課題を進めますので、その都度新しい研究課題が誕生します。でもその果実の種をお渡しするメンバーが不足してきました。単純にはマンパワー不足というか、まあまあ人数は増えてきたのですが、「課題の発展」>「マンパワーの状態」です。まあ課題開発が順調な証拠ではあるんですけどね。

一方で私達の研究室に関心を持ってメールなどで連絡してくれる方が国内外において最近増えてきました。とても喜ばしいことである反面、どのように選抜すべきなのかとても頭を悩ませています。私達の研究室に関心を持って頂いた方々にはまずありがとうございますと言いたいです。その上で、何回かHPでも言っていますが、研究には能力が必要で、憧れや熱意はあって当然ですが、それだけではだめなのです。他の仕事でもそうですが「得意」は「好き」に多くの場合勝ります。メールやあるいは見学の際に、是非自分の得手不得手を誇張することなくありのままにアピールしてください。奨学金獲得実績や優秀な学業成績も参考になるでしょう。数学は苦手だが実験は丁寧である、英語は話せないが読み書きは点数が良かった、簡単なプログラミングならできる、データ解析が得意である、なんでもいいです。みなさんがこれまで培ってきた何かが活きるかもしれませんし、松井研究室では個々がその得意を活かして羽ばたけるテーマにしたいと考えています。その上で若い人が研究に関して未熟なのは当たり前ですので、私達の研究室で様々なアドバイスに耳を傾け、成長してもらえれば言うことないです。

2022年10月14日