世界に誇る脳研究所

脳研究所は,「脳及び脳疾患に関する学理及びその応用の研究を行うこと」を目的として昭和42年に設置され,半世紀を迎えた,国立大学では唯一の脳の研究に関する附置研究所です。
附属施設として,高磁場磁気共鳴装置を中心とした非侵襲性技術を用いてヒト高次脳機能を探る文部科学省中核的研究拠点(COE)により確立された「統合脳機能研究センター」と,脳神経病理標本,モデル動物,遺伝子データベースなどを中心とした脳疾患リソースを管理し,研究を支援する「生命科学リソース研究センター」とが設置されています。

統合脳機能研究センター:最先端の脳機能画像解析技術

統合脳機能研究センターでは,高磁場磁気共鳴装置を中心とした非侵襲的な画像解析技術を用いて水分子が脳の機能において重要な役割を担っていることを検証するプロジェクト「水分子の脳科学」とそれに続く「意識の脳科学」により,大規模な研究展開を図ってきました。平成28年度からは,共同研究拠点のプロジェクト研究として「アルツハイマー病予防・治療薬の創生」を展開しています。非侵襲的な脳機能画像解析は,下記の大型装置によって実施しています。

7T磁気共鳴装置

7テスラのヒト用超高磁場MR装置。高いsignal-to-noise ratioを武器としたヒト脳の顕微鏡的高解像度画像「MR microscopy」を撮影でき,それによりMRの最先端技術を駆使した種々の研究・開発を可能にする。

縦型3T磁気共鳴装置

「ヒトは寝そべった状態で機能しない」という基本的概念のもとに,正当性の高い,真のヒト脳機能を解析するために開発された。特に音楽(ピアノ等)の演奏,車の運転,二足歩行などに関した脳機能解析に,威力を発揮している。

陽電子断層画像装置

ポジトロン断層撮影装置とCT装置を同一ガントリーに組み合わせた,X線CT重ね合わせ型PET装置。

生命科学リソース研究センター:世界有数の脳神経病理標本と脳疾患動物モデル

病態神経科学部門(病理学分野)と生命科学リソース研究センター(脳疾患標本資源解析学分野)では,病理解剖3,500例や手術生検20,000例からなる多数の標本リソースを有しています。なかでも30,000点に及ぶ生鮮凍結脳組織は,本邦およびアジア最大規模であり,世界的に見ても有数のリソースコレクションです。
この膨大かつ貴重な脳病理標本をデジタル化し,ネットワーク上で活用可能とした試みは,21世紀COEプログラム医学分野において「脳神経病理学教育研究拠点形成」として採択されました。
また,文科省が認定する「脳神経病理資源活用の疾患病態共同研究拠点」の中核部門として,また本邦のブレインバンク中核拠点として,脳腫瘍,筋萎縮性側索硬化症,難治てんかん,パーキンソン病,統合失調症などに関する様々な共同研究課題を進めています。

パラフィンブロック(520,000個)
電顕用ブロック(105,000個)

光学顕微鏡観察用ガラス標本(2,000,000枚)
光学顕微鏡観察用ガラス標本を収納している電動式スタックランナー。

生鮮凍結脳標本(30,000点)

超低温冷凍庫(-80℃)専用室。計32台に3万点の生鮮凍結脳を収納し,デジタルデータベース管理している。

固定肉眼標本(10,000点)

一方,生命科学リソース研究センター(動物資源開発研究分野,モデル動物開発分野)では,遺伝子改変マウスの作製・解析を通して多くの学外共同研究を実施しています。
特殊動物実験施設が,脳機能解析や脳疾患病態分析に特化した動物実験を行う施設として整備されており,遺伝子操作齧歯類を中心とした研究活動が行われています。とりわけ,脳機能解析に適したC57BL/6N系マウスES細胞株より多数の遺伝子改変マウスを作出しており,これらマウスは脳研究のリソースとして共同研究ベースで内外の研究者にも供給されています。

発生工学実験室
胚操作を行う。

行動解析実験室
脳機能の測定を行う。

P2実験室
ウイルス接種実験等が実施されている。

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