生命科学リソース研究センター / 脳科学リソース研究部門
システム脳病態学分野

特任教授
田井中 一貴 TAINAKA Kazuki

これまで、ヒト脳生検・剖検サンプルの組織診は、薄切した病理組織に対して各種特異染色や免疫組織化学的染色などの2D染色画像の観察に基づいて行われてきました。広視野かつ高解像度にヒト脳病理組織の3D画像を簡便に取得できれば、バイオマーカーの定量的・包括的解析に基づく神経病理学的な診断基準の構築や、新たな病変形成メカニズムの解明が期待できます。本分野では、ヒト脳組織を高度に透明化する新規手法を開発するとともにシート照明型蛍光顕微鏡を駆使した高速かつ高解像度の3Dイメージング技術を確立します。また、従来の2D組織診で用いられてきた代表的な神経組織染色技術に替わる各種3D蛍光染色技術の開発や3D免疫染色技術の開発を通じて、新たな3D神経病理学の確立を目指します。

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シート照明型蛍光顕微鏡による高解像度3Dイメージング (A) MVX10-LS, (B) ヒト脳 1 cmブロック, (C) CAG-EGFPマウス全脳, (D) CAG-EGFPマウス脳拡大像

特任教授
上野 将紀 UENO Masaki

血管障害や外傷により脳や脊髄が障害されると、神経回路が破綻し重篤な機能不全を引き起こします。成体において回路が再生する能力は乏しいため、これら機能不全に対する有効な治療法は未だ確立されていません。私たちはこれまでに、障害後に残された神経が新たな回路網を作り出し、運動や自律神経の機能を変容させることを見出してきました。私たちは、この回路の再編機序を制御することで、機能を回復へと導く方法を見出したいと考えています。そのため本研究室では、障害脳と健常脳、双方の神経回路システムの観察を通して、回路の再編過程やその分子メカニズム、動作原理の解明に挑んでいます。遺伝子改変マウスやウィルス神経トレーサー、光・化学遺伝学、3次元行動解析、など多様な回路解析ツールを駆使し、包括的な解析を行っています。本研究から、回路を再建し機能回復へと導く新たな治療戦略を生み出します。

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運動神経回路と障害による再編 (A) 運動回路、特に自発・巧緻運動に重要な皮質脊髄路を研究対象としています。障害後、残存した回路が再編する(青矢印)。(B) 皮質脊髄路の軸索(赤色)の再編(矢頭: Ueno et al, Brain (2012)を改訂)。(C) 様々なツールによる神経回路の解析。遺伝子改変マウスによる皮質脊髄路(1: 矢頭)や脊髄ニューロン(2)の標識、経シナプスウィルストレーサーによるニューロンの標識(3)、オプトジェネティクスによる筋反応誘発(4)、皮質脊髄路と脊髄ニューロンの接続(5)、巧緻運動の3次元解析(6)。

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