IRUD

病的意義が不明な遺伝子変異を明らかにし、個別化医療のサポートをする

未診断疾患イニシアチブ(IRUD:Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases)は、日本医療研究開発機構AMEDの推進する研究で、ゲノム医科学を活用して希少・未診断疾患患者の診断を行っています。これが可能となったのは、近年の急速な遺伝子解析技術の進歩によりますが、一方で新たな課題が出てきました。それは、見出された遺伝子変異が疾患に関与しているのか不明なVariant of Uncertain Significance (VUS)の増加です。VUSの病的意義を明確にするためには、in vitroやin vivoで変異の効果を検証する必要がありますが、確証がある状況でない限り、マウスモデルなどで解析する時間とコストが見合いません。このボトルネックに対して、安価で遺伝学的解析が早いショウジョウバエを利用すれば、病気の原因となる遺伝子変異の病的効果を簡便に見出すことができます。私たちは臨床研究者との共同研究で、少しでも多くの病的意義の不明な変異の解明に力を注いでいます。もちろん、病的意義があるかどうかがわかるだけでは、病気の克服ではありませんが、病因が判明することで治療方針が定まり、それまで漠然とした不安を抱えていた患者様が安心されるという話を多くの医師から伺い、これに貢献したいと強く思っています。