革新的技術による、新たな発見と理解

故Sydney Brenner博士は、科学の進歩について次のように言っています。

Progress in science depends on new techniques, new discoveries and new ideas, probably in that order(科学は、新しい技術、新しい発見、新しい概念の順番で進歩する)

私たちの研究室では、脳神経科学における革新的な技術を開発し、様々な未解明の問題に取り組んでいます。
 
ヒトや動物の脳は、様々な分子・細胞・回路がひしめきあっている、体内で最も複雑なシステムです。ですから、この複雑なシステムから特定の要素を抽出して解析する技術が必要です。
 
これまでに私たちは、生体脳内でのゲノム編集技術「SLENDR法」や「vSLENDR法」を開発し、脳での特定の内在性タンパク質の挙動を高精度に観察できるようにしました (Cell 2016, Neuron 2017)。これらの技術開発により、従来は難しかった様々な脳神経科学の問題に挑めるようになりました。
 
この「SLENDR法」「vSLENDR法」に加えて、現在研究室では、生体脳内で特定の分子・細胞・回路を選択的に標識し、行動中の動物において特定の分子・細胞・回路の動態をイメージングし、操作する技術を開発しています。

本研究室で開発した技術に加えて、2光子イメージング、ウイルスや電気パルスによる遺伝子導入、光遺伝学、電気生理学、分子生物学などの最先端技術を駆使して、学習・記憶の「生理」と発達障害の「病態」を、分子・細胞・回路のマルチレベルで明らかにすることを目指しています。

私たちの研究室

ナンバーワンではなくオンリーワンを目指せ

私(三國)の初めの研究の恩師である、本庶佑先生の言葉です。
他人と同じことをやっていては、オンリーワンにはなれません。研究者としてオンリーワンになるためには、また、アメリカや中国などの巨大な組織力に対抗するためには、斬新な発想で新しい研究の境地を切り拓く必要があります。
 
私たちの研究室は、2018年9月に立ち上げたばかりで、多くの可能性がある研究室です。In vivoイメージング、2光子刺激や蛍光寿命イメージング(FLIM)までできる2光子顕微鏡の設備、パッチクランプなどの電気生理セット、ウイルスベクター作製設備、各種の遺伝子導入装置、様々な分子生物学の設備、動物実験の設備などが揃っています。自らのアイデアと能力を思いきり試してみたい人、とにかくユニークで面白い研究をしたい人を歓迎します。
 
ここで大学院生やポスドクとして良い研究を行った後は、日本国内はもちろんアメリカなどの海外の研究室にも紹介可能です。
活発なディスカッションと実験の中で大きなイノベーションを目指す私たちの研究室で、一緒に研究しませんか? ポスドク・大学院生募集中です!
 

三國貴康
 
新潟大学脳研究所
細胞病態学分野 教授
tmikuni (at) bri.niigata-u.ac.jp