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新潟大学脳研究所神経内科

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ごあいさつ

新潟大学脳研究所神経内科
西澤正豊教授写真
新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野教授 西澤正豊
新潟大学脳研究所神経内科

 これから専門領域を決めようとしている皆さん。新潟で神経学会専門医の資格を取って、神経学の専門医になりましょう。

 人口構成の変化とともに神経疾患は増え続けており、今後は益々、脳の時代、神経の時代になります。これから神経学を勉強するために、新潟大学脳研究所の神経内科はとても恵まれた環境にあります。

 その理由の第一は、世界一の病理部門と貴重な病理標本です。神経学の臨床にとって病理学のサポートが重要なことはいうまでもありませんが、最近は中枢神経系の神経病理学を系統立てて勉強できる場がなくなっています。脳研究所には高名な高橋均教授をリーダーとする神経病理学の専門家が揃っていて、ハイレベルの臨床病理検討会CPCが毎月行われています。24時間体制で神経病理の剖検に対応してくれる施設は他にありません。神経内科からは研修プログラムの一環として、半年間神経病理学の勉強にローテーションすることができます。

 第二は、統合脳機能研究センターです。非侵襲的な方法で人間の心を理解しようという目的で、高名な中田力教授をセンター長として設立されたこのセンターには、世界でもまだ数台しか稼働していない7テスラのMRIや、世界初の縦型3テスラのMRI が設置されています。このように恵まれた環境は新潟にしかありません。新潟では最先端の脳機能解析に参加することができるのです。臨床応用に向けた研究も盛んに行われており、神経内科は多系統萎縮症におけるtractography、アルツハイマー病におけるアミロイドイメージングなど、緊密な共同研究を続けています。

 第三は、遺伝子解析です。神経学は分子生物学の恩恵を最も多く受けてきた領域ですが、新潟の神経内科はこの分野で世界的な貢献をしてきました。歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症DRPLA、脊髄小脳失調症2型(SCA2)、アプラタキシン欠損症(EAOH)の原因遺伝子は新潟ではじめてクローニングされたのですが、これは新潟の諸先輩が長年に渡り営々として積み上げてきた膨大な臨床の知見があったからこそ可能だったのです。新潟の特徴は、臨床の観察から始まり、貴重な症例を丹念に積み重ね、最新の分子遺伝学・分子生物学の手法を積極的に用いて、原因遺伝子の同定から病態の解明まで一貫した研究を続けてきたことにあります。この伝統は今も生きており、遺伝性神経疾患の解析では世界でもトップレベルにあります。

 第四は、神経内科の実地臨床です。新潟大学脳研究所には昭和40年に椿忠雄教授が神経内科を開設されて以来、教室に在籍された多くの先輩方が新潟の各地で、神経内科の地域医療を支えてこられました。県内のどこの神経内科でも、新潟の先輩が活躍しておられるのです。このように恵まれた環境だからこそ、DRPLAやEAOHに関する長年に渡る臨床遺伝学的な研究が実現したのです。神経難病の領域で有名な新潟市の支援システムも、堀川楊先生をはじめとする諸先輩が築き上げられてきたのです。

 大学病院は内科からのコンサルテーションが多数あり、膠原病の神経合併症などのいわゆるmedical neurologyを十分に勉強できます。急性期の疾患は、新潟市民病院、長岡赤十字病院などの県内の急性期の基幹病院で十分勉強できます。慢性期の疾患は、神経難病病棟をもつ西新潟中央病院、新潟病院、阿賀野病院などで十分勉強できます。筋ジストロフィーの措置病棟も新潟病院に設置されています。神経内科は対象とする疾患の間口が広いのが大きな特徴です。脳卒中などの急性期の医療を目指す人にも、神経変性疾患や脳卒中の回復期などの慢性疾患の医療を目指す人にも、それぞれに自分が目指すべき対象が見つかる領域であり、一生をかけて取り組むに値する分野なのです。

 新潟大学脳研究所神経内科では、皆さんのために神経学の後期臨床研修プログラムを用意しています。プログラムの内容はこのホームページに掲載してありますので、ご覧下さい。卒後3年目から神経内科に参加されれば、3年目を終了すれば認定内科医の資格を取ることができます。2年間の内科初期研修に神経内科の後期研修を4年間、合計6年間の研修を終了すれば、神経学会専門医の資格を取ることができます。新潟で4年間共に研修すれば、専門医資格は必ず取ることができます。

 その後の進路は皆さんの自由です。出身地に戻って、神経内科の専門医として活躍することも勿論できます。新潟に残って我々のチームに参加して下さる方も大歓迎します。留学を希望する場合には、そのお世話をすることもできます。

「神経疾患は治らない?」

 今でも神経疾患は治らないというネガティブ・キャンペーンを耳にすることがありますが、これはもはや過去のものです。この分野における最近の目覚ましい進歩を知らないことから生じる誤解です。神経疾患の病態に関する知識は急速に深まっていて、病態の理解に基づいた新たな治療法が次々に開発されているのです。アルツハイマー病におけるアミロイドワクチン療法や、ポリグルタミン病におけるトレハロースによる凝集抑制療法や分子シャペロン療法、あるいは最近注目を集めているRNA干渉の神経疾患への臨床応用等々、かつては原因不明で、治療法もないとされた神経変性疾患についても有効な治療法が続々と具体化されてきています。今残された課題はまさにこれらの臨床応用であり、神経疾患の治療学の確立なのです。この大切な作業に、ぜひ皆さんの参加を待っています。

 皆さん、新潟で神経学の専門医になりましょう。

2005年1月5日記
新潟大学脳研究所神経内科