研究成果・実績

脳梗塞後の治療可能・介入域の拡大を示す新しい概念!

2019年03月11日

概要

脳梗塞後,運動感覚機能が障害され,後遺症が生じます.この障害された機能を回復させうるものとして,血管新生を起こすことで,神経再生の可能性が考えられております.これは,脳梗塞後に,病変周辺で血管を増やすことで,その部位の環境を改善させて,神経軸索進展に寄与するという仮説によるものです.本学神経内科学分野の金澤雅人講師らは,岐阜大学脳神経内科の下畑享良教授,米国ワシントン大学内科学のGregory del Zoppo教授らとの共同で,脳梗塞後の血管新生の局在,血管新生の機序,さらに血管新生が機能回復に与える影響について,総説を発表いたしました(国際脳循環代謝学会誌 JCBFM).

脳梗塞後,神経細胞が失われ,回復の可能性がないとされている虚血中心(コア,図A,Bの真っ黒+オレンジの領域)が存在します.私たちや複数の研究の結果,その虚血中心の辺縁(図A,Bのオレンジ域)や虚血の周辺部(その外側)において,血管新生が生じること,さらに虚血の周辺部で神経軸索進展の可能性があることを明らかにしました.このことは,これまで治療の可能性がないといわれていた虚血中心は,実は均一ではなく,血管新生という再生が生じている部分があることを示しました(可逆性の治療可能域ペナンブラにあたる).さらに,神経軸索進展の誘導を血管新生が担うことで,脳梗塞後,病変を縮小させ,さらに機能回復につながる可能性を示しました.

私たちは,Sci Rep 2017に脳内炎症性細胞ミクログリアを用いた細胞療法の可能性を示しました.そこで得た知見と同様の結果が最近観察されていることがわかりました.それらの結果をまとめると,いわゆる虚血ペナンブラという治療可能域の概念を広げることができます(図B).現在,私たちは,ここを標的としたさらなる応用を目指した研究に取り組んでおり,機能回復を目指した検討を継続しております.

■論文はこちら

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図A 脳梗塞後の自然経過を示す.軽度の血管新生が虚血中心辺縁部に生じるが,神経軸索の進展は生じない.
図B 脳梗塞後,薬剤,細胞療法で,血管新生を促進したのちの変化を示す.虚血中心辺縁部の血管新生は促進され,神経軸索の進展が生じる可能性がある.いわゆる治療可能・介入域ペナンブラは,血管新生域も含んだ領域(オレンジの帯)であることを新たに示した.
赤線:新生血管,緑:神経細胞を示す.

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