主な研究プロジェクト

分子・機能情報を統合した21世紀ブロードマン脳地図作製
【文部科学省 教育研究組織改革関連プロジェクト】
認知症共生社会の道標となる脳内の分子・機能情報を統合した"脳地図"の完成を目指した産官学連携・人材育成拠点

アルツハイマー病などの認知症に代表される脳の加齢性疾患の克服は喫緊の課題です。これらの疾患の治療法を開発するためには、早期に正確に予後を推定できる診断方法を確立することが重要です。その為には、脳内で病気の進展を予測する道標となる地図が必要です。この地図には細胞レベルの分子多様性情報に加え、細胞間、領域間の機能的、解剖学的結合状況などの情報と経時的情報が統合されている必要があります。本事業は、脳疾患の進展を理解する道標となる新しいひと脳地図の作製を起点として、産官学と連携した社会実装及び人材育成を展開し、認知症共生社会による社会還元を図ることを目標としています。その為に、ひと脳組織からの細胞分散技術の確立、ひと脳組織の透明化技術及び細胞標識技術の確立、機能的MRIによる脳領域の機能関連地図の作製などに取り組んでいます。脳研究所が、半世紀に渡り整備した世界最大級の疾患脳バンクを用い、脳研究所の共同利用・共同研究機能を向上させ、すでに国内外との連携により顕著な実績を上げているひと脳試料研究を発展させます。また、最新の数学・AIによる解析で得られたデジタルデータを新たに加え、ひと脳資産の価値をさらに高めることで、多分野の研究領域を結んだ脳疾患研究ネットワークのハブとなり、我が国の共同利用・共同研究機能、人材交流を推進します。

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システム脳病態学の確立による脳疾患臨床研究推進事業
-脳リソースを活用した脳疾患臨床研究プラットフォームの確立-
【文部科学省 教育研究活動プロジェクト】(2016-2021年度)

従来の局在論による脳の診断学は,脳疾患の治療研究において,その限界が垣間見えるようになってきています。脳疾患の克服のためには,脳の各部位の機能的な結合状態(システム)に基づいて脳疾患を理解する新しい学問が必要とされます。新潟大学は,このような病態学を"システム脳病態学"と称し,その知見に基づき新たな病態評価方法を設定することを目標とする事業を開始しました。この知見に基づき介入試験を行うことにより脳疾患克服への道筋をつけます。この事業は,脳に対する脳研究所の基礎的な知見と,医学部の脳神経関係の研究,さらに医歯学総合病院の医療体制を統合し,基礎的な成果をより早く実践医療に役立てる,シームレスな環境の設立を目標とします。この事業を通して,脳疾患の橋渡し研究を主に扱う臨床研究センターの設立を目指します。

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アルツハイマー病予防・治療薬の創生
【文部科学省 共同利用・共同研究拠点強化事業】(2015-2020年度)

新潟大学脳研究所統合脳機能研究センターにおける20年に渡る地道な研究は,アルツハイマー病の無侵襲な発症前診断につながる画像診断法を開発すると共に,アルツハイマー病の発症メカニズムが脳の水チャンネル蛋白であるアクアポリンの機能低下から生ずるアミロイド蛋白の排泄不全が関与していることを突き止めました。本事業はこれらの画期的な成果を踏まえ,MRI・PETを用いたアルツハイマー病の発症前診断法を開発・確立すると共に,開発された診断技術をアルツハイマー病発症予防に生かすために,アクアポリンを制御する薬剤の開発を行い,アミロイド蛋白の排泄不全を予防・治療する特異的な新薬を創生することを目標としています。

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