2013年09月09日

イベント

第4回新潟大学脳研究所共同研究拠点国際シンポジウムを終えて

7月27日28日の2日間にかけて第4回新潟大学脳研究所共同研究拠点国際シンポジウム"RNA World in Brain"がおこなわれました。組織特異性を規定する物は、RNAの多様性ですが、その制御機構についての研究はようやく始まったばかりで、RNA制御機構、また新しいRNAの役割について発見が相次いでいます。その中で、RNA制御機構以上による疾患と、RNA制御を利用した治療法研究が報告されています。今回は神経疾患のRNA研究で有名な国内外の研究者をお呼びして2日間のシンポジウムを開催しました。
藤田保健衛生大学の前田先生からは、アルツハイマー病と、その原因遺伝子のスプライシング異常について、本学の石原先生からは筋萎縮性側索硬化症でのマイナースプライスゾームの異常について、ヴュルツブルク大学のSebdner教授からは、神経細胞でのmRNA輸送と疾患との関連について、産業総合研究所の廣瀬先生からは、核内の長鎖RNAと、疾患との関連についてご発表を頂きました。治療に関しては、京都大学の片岡先生から、化学物質を利用したスプライシング制御による遺伝性筋疾患の治療方法ついて、コールド・スプリング・ハーバー研究所のKrainer教授からは脊椎性筋萎縮症に対するアンチセンスオリゴの有用性についてご講演をいただきました。そして傍腫瘍症候群で有名なHu蛋白質の生理的役割について慈恵医科大学の岡野先生、最後にRNA関連蛋白の制御RNAを網羅的に同定し、この分野に革命を起こしているロックフェラー大学のDarnell教授からRNAゲノミクスの新時代と題してご講演をいただきました。
いずれのご発表も大変興味深い物で、フロアをふくめて活発な議論が繰り広げられました。
神経疾患の解明においてシステム選択性は最大の謎で有り、それを解決する鍵がRNAにあることは疑いのないところです。これらの大きなうねりを、本学、本邦の神経疾患研究にも導入していくことが必要と大きく感じた次第です。

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